トップスター退団公演 新公の歴史 期待の星!稀惺かずと・詩ちづる

ここのところ星組関連の記事が続いていますが、今日も星組さん。
星組は予想を裏切らない安定の戦略できますね。
トップスター礼真琴の退団公演『阿修羅城の瞳』新人公演の配役がようやく発表されました。
退団公演の新公主演は特別な経験
トップスターの退団公演で主演をつとめる下級生は、その時代ごとに将来有望な若手スターであることがある種の定説。
退団公演に限らず新人公演の主演を任されること自体、期待されている証のようなものなので、それが退団公演であるかどうかは関係ないのかも知れません。
とはいえ、ひとつの時代とその重責を背負ってトップスターとして存在し続けてきたスターさんの集大成である退団公演で、直接的に学びを得ることができる「新公主演」というのは、やはり下級生にとって特別な経験。
そして「トップスターの在り方」をトップさんから直接学び、肌で感じることができるという意味では、劇団としても、将来の宝塚を託すに値するであろう若手スターさんに、そのチャンスを与えようと考えるのも自然な流れなのかも知れませんね。
劇団が過去に学んだ「スターの育て方」
こっちゃん(礼真琴)の退団公演で主演を与えられためぐちゃん(稀惺かずと)は、言わずと知れた星組の超・御曹司。
いや、星組のというより宝塚歌劇団としての御曹司でしょうか。
ご本人はいたってマイペース、はたからファンとして見ている限りは力まず奢らず、自然体でスクスク成長している印象です。
長い間、劇団の「若手スターごり押し作戦」を多々見続けてきたファンとしては、あまりにもめぐちゃんの突出感がなさ過ぎて、めぐちゃん推しする気がないの???と勘違いしてしまいそうなくらいの時期もありました。
でもこれこそがある意味、劇団が「過去に学び」新しい時代に即した良い育成方法を選択した結果ではないかと感じます。
あからさまな抜擢や爆上げは、本人にとってもプレッシャーを越えた「苦痛」になりかねません。
そのせいで、どれだけの有望な若手スターさんが志半ばで宝塚を去っていったことか。
本人の気持ちや成長段階に寄り添いながら、最終目的地が「トップスターになること」でも或いはそうではなくとも、ご本人、そしてその道程を応援するファンにとって「ハッピーエンド」と思えるような時間を過ごさせてあげて欲しいですね。
〔昭和・平成・令和〕星組 退団公演の新公主演者
さて、そんなことを思いながらも、ふと星組の過去の新公主演者のその後が気になり、私が宝塚歌劇を見始めた昭和の終わり頃、峰ちゃん(峰さを理)時代からの退団公演新公主演者を振り返ってみました。
新公の主演者を振り返る前に、私が宝塚を見出してからもうこんな沢山のトップさんが誕生してるんだ⁉と、そのことにまずびっくり。(笑)
星組の歴史を辿るとトップスターは20人ほど(詳しくは 宝塚の歴史 星組トップスター をご覧ください)ですが、そのうちの12人をリアルタイムで見守ってきたわけですから、、、ずいぶんと年を重ねたものです。
作品名 | トップスター | 新人公演 | 新公 相手役 |
別離の肖像 | 峰さを理 | 麻路さき | 茜このみ |
紫禁城の落日 | 日向薫 | 稔幸 | 陵あきの |
カサノヴァ・夢のかたみ | 紫苑ゆう | 湖月わたる | 星奈優里 |
皇帝 | 麻路さき | 音羽椋 | 秋園美緒 |
ベルサイユのばら2001 | 稔幸 | 真飛聖 | 琴まりえ |
ガラスの風景 | 香寿たつき | 涼紫央 | 仙堂花歩 |
愛するには短すぎる | 湖月わたる | 和涼華 | 陽月華 |
My dear New Orleans | 安蘭けい | 真風涼帆 | 蒼乃 夕妃 |
黒豹の如く | 柚希礼音 | 礼真琴 | 綺咲愛里 |
桜華に舞え | 北翔海莉 | 天華えま | 小桜ほのか |
GOD OF STARS | 紅ゆずる | 天飛華音 | 舞空瞳 |
阿修羅城の瞳 | 礼真琴 | 稀惺かずと | 詩ちづる |
さすがに新人公演主演者には、ずらりとのちのトップスターが並んでいますが、トップにならずして退団の道を選んだスターさんもちらほら。
麻路さき、まりこちゃんの時代には完全なる「1人っ子政策」が主でしたから、他組においても花組では真矢みき、月組では涼風真世、雪組では一路真輝がそれぞれ新人公演を独占していましたね。
その麻路さき退団公演で新公主演を務めた音羽椋、おとこちゃん。
おとこちゃんは、まさに正統派二枚目の奇麗なお顔立ちにスラリとした立ち姿で期待の新人さんでした。
78期生なので、同期生にはのちのトップスター瀬奈じゅん、貴城けい、大空祐飛、そして檀れい等がいます。
もとは花組に在籍していて、研5くらいの時に星組に異動。
このトップ退団公演「皇帝」の前の2作品でも、確か新公主演だったと記憶しています。
私は花組時代のおとこちゃんに嵌っていた時期があり、まだ研2か研3くらいの頃だったと思いますが、いちどだけ名古屋のカフェで「お茶飲み会」に参加させていただいたことがあります。
本当に気さくで可愛らしくて、逆に言えば欲や競争心のなさそうなほんわかした人柄が魅力的でした。
そのときの会話で他愛もない話なのになぜか未だに忘れられないのが、、、
おとこちゃん:「名古屋の地下鉄って黄色くてニューヨークみたいで、カッコいいですよね!♡」
(当時の名古屋の地下鉄東山線は車両自体が全面黄色でした)
お付さん:「ニューヨーク行ったことないくせに。(笑)」
おとこちゃんを囲んでみんなで大笑いしたのを覚えています。
そんなおとこちゃんが、劇団の大きな期待を浴びながらも自らスターの階段を降り、退団の道を選んだときにはファンとして残念な思いもあり、「なぜ?」の思いもあり。
それから数年の時を経て、同じく期待を背負ったまま退団の道を選択したのが和涼華、しみこちゃん。
彼女は86期生で、同期生には凰稀かなめ、陽月華がいます。
宙組に配属され、それはそれはきれいなお顔立ちに注目が集まりました。
新人公演の主演は研6なので、当時にしては「大抜擢」という流れではありませんでしたが、順当にスターの階段を上っていくと誰もが感じていたと思います。
研7の前半、和央ようかの退団公演を最後に星組に組替えとなり、最後の新人公演を湖月わたるの退団公演「愛するには短すぎる」の主演で締めくくりました。
星組では柚希礼音の別箱で2番手として出演したり、本公演でも目立つ役を与えられ、来るべく柚希時代を共に支える立ち位置なのかな、と思っていたら、安蘭けいの退団公演で彼女も退団の道を選択しました。
学年的に言えば、研10のはじめ。
先のおとこちゃんが研9かな?
みんなこれくらいにいろいろ考える時期が来るのでしょうか。
そして何よりもショックだったのは、この和涼華さん、当時の推しでした。
つまり、私が推すと退団してしまうのか!?というジレンマに陥り、さすがに凹みましたね。
しみこちゃん、最近になってまた活動を再開されているようで、ときどきSNSで元気な様子を拝見しておりますが、相変わらずの美貌で。
さてさて、そして記憶に新しいのが天華えま、ぴーすけの退団ですね。
3度の新人公演主演を与えられながらも、別箱主演なし。
退団ご祝儀と言われた『Stella Voice』があっただけでも「良かった~」と思いましたが、劇団が彼女に求めたものは何だったのだろう?と今でも考えてしまいます。
そのほかに涼紫央、とよこちゃんもトップにならずして退団したスターさん。
彼女の場合は時代の流れを読みながら自らの立ち位置を確立していったので、ある意味、賢いタカラジェンヌ人生だったのではないかと思います。
さて。
天飛華音、稀惺かずと。
退団公演・新公主演者の未来はどうなっていくのでしょうか。
最近の新人公演の傾向
新人公演の配役は、私たちファンにとってもとても関心が高いものです。
それは劇団が誰を将来のスター候補生に推しているのか、自分の応援している下級生がどんなポジションなのか、とうらなう上で重要なヒントになるから。
かつては新公を「独占」する劇団推しの若手スターがどの組にも存在していましたが、年々各組でいろいろな変化が見られるようになってきているように思う今日この頃。
私たちには見えない色々な判断基準があることは想像に難しくないところですが、新人公演の主演というステイタスが「路線スター」としての絶対条件ではないことが、近年、どんどん表面化しているように思います。
とても良い変化なのではないでしょうか。
いろいろな思いはあれど、個人的には本来の「新人公演」のあるべき姿に近づいたのかな、とも感じています。
エンターテイメントの世界は人気商売なので、そうである以上は、新人公演において劇団が決めた未来のスターにスポットを当てることも重要な「新公」の役割ではあります。
そこは避けられないし、あって然り。
ただ、劇団が選んだ特定の下級生だけでなく、多くの「原石」たちにチャンスが与えられるようになり、より多くの下級生がトップスターやトップ娘役、番手スターたちの身近で学ぶ機会を得られるようになりました。
それによって下級生たちが高いモチベーションで自らを磨き、より多くのファンに自分の魅力やメッセージを届けることができるようになりつつあります。
その光やメッセージを受け止めながらファンがスターを見い出し、未来のトップスターを育てていくという流れもできつつあるように感じます。
ファンの声がそう簡単に響くような劇団ではないかもしれません。(笑)
とはいえ、エンターテイメントの屋台骨を支えているのは紛れもなく「ファン」であることは確かなので、下級生たちにとって新人公演が「自分の存在や魅力を発信する場所」として、幅広くチャンスを与えられる場であってほしいと願います。
本役さんが未来の旦那様⁉
長くなってしまったので、そろそろ終わろうと思っていますが、これだけは書きたい。
うたちゃん、未来の「旦那様」が本役という、なんとも不思議な新人公演。
ふと思い出したのが、伝説の新人公演、雪組の『風と共に去りぬースカーレット編ー』。
一路真輝トップ時代で、いっちゃん(一路真輝)が主演のスカーレットを演じた公演ですが、その新人公演を次作で相手役に就任することが決まっていた娘役の花總まりが務めました。
たぶん、後にも先にも新人公演の「主演」を娘役さんが務めたのは、はなちゃんだけじゃないでしょうか?
私の知識が追い付いていなかったらごめんなさい。
当時は新公主演のはなちゃんが開演アナウンスも担当したため、大きな話題になりました。
はなちゃんはそもそもが別格な存在でしたから驚きはしませんでしたが、男役が主軸の宝塚においてはとても貴重な「歴史」ですね。
そして今回、主演ではありませんが本役さんが次作から「旦那様」になる次期トップスター暁千星。
しかも難しい役どころ。
男役の視点から演じる女性と、娘役の視点から演じる女性は自ずと似て非なりであると思いますし、本役さんとしてありちゃん(暁千星)のそばで色々な勉強をすることができるのは、うたちゃんにとっても非常に良いチャンスですね。
そして、何よりもこれから先を共に歩んでいくうえで、今回の新人公演を通じてたくさんコミュニケーションを取りながら、お互いの考え方や役作りの過程を知ることは大きなアドバンテージになると思います。
めぐちゃんとの同期生コンビとしても2度目の大作に挑む新人公演。
これからの星組人気を支えていくことになるであろう二人の成長ぶりを、心の底から楽しみにしています!
まとめ
こんなに長くなる予定ではなかったのですが、なんだか長くなってしまいました。
まとまりもなくダラダラと書いてしまいましたが、最後までお付き合いいただきましてありがとうございます。
今回は大方の予想通りの新公主演者発表でしたが、その他の配役についても楽しみが盛りだくさんでしたね。
個々のお楽しみポイントはまた別の機会に語ることにします。
東京での新人公演を見れたら嬉しいのですが、チケットの抽選も新方式に変わるのでどうなることやら。
本公演すら取れないかも知れない不安がまだしばらくは続きそうです、、、。