正塚先生、渾身の自信作!?『マジシャンの憂鬱』こぼれ話

『マジシャンの憂鬱/Jubilee』が博多座で大好評上演中の花組さん。
先日、博多座から出された「一部の観客による迷惑行為」には、宝塚歌劇の公演でこんなことが!?と少々驚き、なんとも複雑な気持ちになりましたが、その後、このニュースを知ったファンから性別や世代をひと括りにして批判するような感情的な意見が多く発信されていたことにも驚いてしまいました。
これは「特定の方が起こした」迷惑行為。
老若男女、宝塚ファンとして純粋に劇場観劇を楽しんでいる人たち誰もが「楽しめる」空間を、劇団、出演者、主催者だけでなく、我々ファンも考える必要があるのかもしれません。
さて、そんなちょっと残念な出来事もありましたが、元気に夢を届け続けてくれている花組さん!
今日は『マジシャンの憂鬱』に関するこぼれ話です。
正塚晴彦、自画自賛!?
『マジシャンの憂鬱』は2007年に正塚先生が月組に書き下ろした作品。
当時のトップスターは瀬奈じゅん、そして相手役は彩乃かなみ。
この作品の再演が劇団から発表っされたとき、あさこちゃん(瀬奈じゅん)が自身のインスタで即反応していました。
「そんなに名作でしたっけ?」
なんともあさこちゃんらしいコメントに思わず笑ってしまったのですが、実は正塚先生にとってこの作品、かなりの自信作だったみたいで。
月組の公演当時の『NOW ON STAGE』でのトークがそれを物語っていました。
あさこちゃん曰く、自分の作品が上演されているのを見て正塚先生は「絶賛」だったらしいのです。
「面白いわ!オレ、これ飽きね~わ!」
「オレが作ったけど、面白い!」
「オレね、最近、ようやく自信がついてきたんだよ」
「そういう自信って持ってなきゃダメだよな」
あさこちゃん、覚えてますか?
正毅先生にとって『マジシャンの憂鬱』はかなりの名作だったみたいですよ。(笑)
再演の題材としては「満を持して」だったのでしょうか。
「瀬奈じゅん」と「永久輝せあ」の持ち味
私はまだ今回の花組さんの公演は見ていなくてライブ配信待ちなのですが、スカステで初日の様子をチラリと見たときに思いました。
永久輝せあ、瀬奈じゅんの匂いがする、と。
シャンドールの印象が、かつての月組公演で感じたものとドンピシャだったのです。
ビジュアル、歌声、雰囲気、そのすべてがあさこちゃんとオーバーラップしてしまいました。
実は私、瀬奈じゅんファンというわけではなかったものの、あさこちゃんの舞台姿や歌声が大好きだったので、ひとこちゃんを通じてあの頃の「瀬奈じゅん」と再会したようで嬉しくなってしまいました。
タカラジェンヌとしての個性や、性格的には似ていないのかもしれませんが、シャンドールにはあの頃のあさこちゃんが宿っているようで。
なるほど、正塚先生が花組の永久輝せあでこの「名作!」(笑)を再演しようと決めたことに納得。
個人的に楽しみにしているポイント
そんなわけで、もともとライブ配信を観る予定ではありますが、さらに楽しみが増し増しです。
シャンドールという人の小悪党なのにダンディでどこか品の良さを感じるキャラクターは、正塚先生らしいな~と思うわけですが、これが瀬奈じゅんの手にかかると更に魅力的な人物に仕上がっていた初演。
ひとこちゃんがどんなシャンドールを確立しているのか、かなり楽しみにしています。
星空美咲ちゃん演ずるヴェロニカのキャラクターも、正塚ワールドですよね。
可愛らしい娘役にはあまり嵌る役ではないと思いますが、そこがまた面白いというか、正塚先生の捻くれたところというか。(笑)
初演のみほこちゃん(彩乃かなみ)もどちらかというと可愛い系ビジュアルのトップ娘役でしたが、美咲ちゃんがどんなツンデレを見せてくれるのか期待しています。
2番目ポジションで頑張っているほのかちゃんは、一応この作品の中ではシリアス・キャラ担当の皇太子ですが、ただシリアスでは終わらないのがマサツカ流。
シリアスな芝居を作り込めば作り込むほどに面白さが染み出てくるという、おいしい役どころですよね。
初演は芸達者のきりやん(霧矢大夢)が見事に笑いをかっさらっていましたが、ほのかちゃんの皇太子も楽しみにしています!
まとめ
正塚先生、若手だと思っていた演出家たちがどんどん「大御所」になっていき、そりゃ自分も年を取るわけだなと思う今日この頃。
昨年の月組公演『Eternal Voice 消え残る想い』ではかなり久しぶりに新作を世に送り出しましたが、正塚先生もめっきり新作を書かなくなってしまいましたね。
正塚作品は難解ながらも魅力的な登場人物が溢れています。
正塚先生は自身の作品の再演も好まないというような話を聞いたことがあります。
確かにその時の出演者を頭に浮かべながら生み出す物語ですから、再演によって作者の中のイメージが異なったものになることもあるでしょう。
でも、今回のように初演当時のイメージと重なる、それでいて「似て非なり」の不思議な空気感を生み出すこともあります。
これからも数少なくなった「宝塚オリジナル」の明かりを灯し続けて欲しいものです。