柚希礼音・夢咲ねね「私たちの推しは礼真琴」

ひと昔前であれば「推し」といえばオタク文化のイメージでしたが、いまでは普通に「推し」という言葉が一般的に使われるようになりました。
今どき世代ではない私でも、いつしか「推しの生徒さん」「推しのスターさん」と口にするようになっているのですから、時代の波はすべての人々を飲み込みながら勢いよく流れていくのだと実感しますね。
宝塚と礼真琴を結び付けた人
いまをときめく星組のスーパートップ礼真琴を宝塚歌劇の世界に誘ったスターといえば、言わずと知れた元・星組トップスター柚希礼音。
当時、まだ星組の2番手だった安蘭けいが主演したバウホール公演『龍星』に、若手のホープとして出演していたちえちゃん(柚希礼音)も出演していました。
その公演を見て、若かりし日の「ことちゃん(礼真琴)」は柚希礼音のとりこになり、憧れ、追いかけ、夢を叶え、ついには「星を継ぐ者」となりました。
ちえちゃんもそんなこっちゃんをとても可愛がっていたし、卒業した今でもそれは変わらないように思います。
憧れの人の推しとなった「星を継ぐ者」礼真琴
たまたま、スマホでネットサーフィンをしていて出会った感動的な記事。
きっとファンの皆さんならすでに読んでご存知かと思いますが、Rakutenブックスの「推し楽」という企画のインタビュー。
そこに星組の元トップ・コンビ「柚希礼音・夢咲ねね」が揃って登場しています。
二人は同時退団してからほぼ10年ぶりに「ホリデイ・イン」という作品で同じ舞台に立つことになりました。
この二人は卒業後も常に一緒に観劇したり、OG公演やコンサートで共演しているせいか、久しぶりに一緒に舞台に立つという気がしないのですが、作品として共演するのは卒業以来なんですね。
そして、早10年か、と。
そんな二人がこの企画のインタビューで様々なことを語っているのですが、「推し活するあなたを“推す”メディア」という企画のメインである「推し」についても最後に語っています。
そのインタビューのサブタイトルに書かれたのが「現在の二人の推しは“星を継ぐ者”」。
柚希・夢咲コンビ時代の星組で成長してきたこっちゃんをリアルタイムで見守ってきたヅカファンとしては、感慨もひとしお。
夢咲:ちえさんと私はもう完全に(礼真琴さんが)“推し”です!
柚希:私達の“推し”は礼真琴さんですね。卒業するその日まで推し続けます。
そして二人が武道館ライブを観劇したエピソードも語ってくれていて微笑ましく読ませていただきました。
実は私が武道館ライブを観劇した日は、ちえちゃん、ねねちゃん、なこちゃん、そしてマイティや現役タカラジェンヌが大挙して来場した日でした。
上手側中央寄りの最前列にいたちえちゃんとねねちゃん。
下手側の1階スタンド席だった私からは、ステージやランウェイのこっちゃんを見ていると必ずちえちゃんの姿が同時に目に飛び込んでくるという至極のひとときだったわけです。
ことあるたびに両手を大きく伸ばし、ときには声を張ってこっちゃんにエールを送るちえちゃん。
やっぱり声が枯れてしまっていたんですね。(笑)
自分が憧れ、背中を見つめ、追いかけ、たぶん「追い越した」であろう憧れのスターさんに、「推し」だと言ってもらえる礼真琴、幸せ者ですね。
でも、それにはこっちゃんの人柄はもちろんのこと、どれだけ天才だとチヤホヤされようとも、決してうぬぼれることなく陰での地道な努力を重ねてきた姿を誰よりも知っているちえちゃん、ねねちゃんだからこその「推し」なのだと思います。
やっと聴くことができた「星を継ぐ者」
武道館のカーテンコールでこっちゃんがこの曲を歌うと告げたときの、ちえちゃんの何とも言えない叫び声に星組ファンは何を思ったのでしょう。
私はただ、ただ、ジーンとしました。
こっちゃんがトップに就任する直前、本当の気持ちを言えば、どこか公の場で歌ってくれるんじゃないかと期待していました。
でも、結局は退団を目前に控えたこの時期になるまで歌うことはなく、半ばあきらめにも似た思いでいたわけですが、なぜ「星を継ぐ者」を歌おうとしないのか、どんな思いなのか、ずっと気になっていました。
この曲は当時の公演で主演を務めたとこちゃん(安蘭けい)が、2番手で足踏みをしている中、彼女がトップになれるようにとの願いを込めて演出家の児玉先生がプレゼントした曲だと聞きます。
星組にとってのこの曲の歴史はまだまだ浅いものですが、こっちゃんにとっては宝塚歌劇と出会い、柚希礼音と出会い、その後の人生を決定づけた大切な作品の主題歌。
そして憧れの人と同じ道を歩み、辿り着いた一番星。
武道館でこっちゃんが、「思い入れが強すぎて、今まで “まだまだ”と歌うことができなかった」と語ったとき、はじめてその深い思いを理解し感動が押し寄せてきました。
「やっといま、胸を張って歌いたいと思います」
そう静かに語り、青い光に包まれ歌い出したこっちゃんは、完全に神がかっていました。
ひとの人生ってなんだか「すごい」なと、ただただ「すごい」なと、感じたひとときでした。
あの空間に居られたことに感謝。
まとめ
宝塚の醍醐味は、こうした「あこがれ」が形になって、上級生から下級生へと夢が受け継がれていく瞬間に立ち会えること。
礼真琴 × 柚希礼音 この関係性が、これから先もまたどこかで垣間見える機会があるかもしれませんね。
まずは大劇場か東京宝塚劇場のどこかで、「推し」である礼真琴さんの宝塚ラストステージを熱い眼差しで見守るちえ・ねねの姿が見られそうで楽しみです。